Contemporary Art Calligraphers Assosiation (CACA)。現代書家 岡本光平氏が特別顧問を務める書作家協会です。

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GINZA・CACA BAD&NICE 書の宇宙
2019.9.17→9.21
銀座第7ビルギャラリー

CACAは創立10周年を迎え、精鋭の有志38名によるこれが書なのかという、前代未聞の画期的な二つのテーマによるアートシーンをギャラリーの1、2階に分けて開催しました。
 とくに最終日は多くの来場者で会場は熱気に包まれました。ご来場の皆様には厚く御礼申し上げます。

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 書を美しく書くという、暗黙のすべての約束ごとを真っ向から否定して書いたBadな作品群は会場を一種の不協和音で包みました。
 もう一つのテーマは、篆書という美しい文字でありながら今では印刻にぐらいにしか使用されない古い書体を、現代的な漢字デザイン・アートとして蘇らせるNiceな作品群です。 

 Badとは単に「悪い」という意味ではなく、「常識を打ち破る超カッコいい」という意味です。言わば今や世界的に有名な日本のダメージやエイジング加工されたデニムのジーンズを思い起こしてください。これは言い換えると現代のワビ・サビとも言えましょう。
 伝統書で培われたきた筆法や字形のすべての面倒な約束ごとを拒否することで、筆で字を書く原初的なエネルギーを取り戻すことを目的としました。このことこそが真のコンテンポラリーと言えるのではないかと考えました。アタマデッカチで思わせぶりな小手先アートとはちがって、書が本来的に持っていたフィジカルな原点回帰のエネルギーを打ち出したのでした。
 捨てるということは、勉強して身につけるよりはるかにたいへんな労力と精神力が必要です。

 私たちは書のどこに心ひかれ、何に感動を覚えるのか、その本質を忘れるわけにはいきません。
 書の最高峰の名品である顔眞卿の「祭姪稿」や王羲之「蘭亭序」、そして空海の「潅頂記」などは、美しく整っている字ではありません。これらは人に見せようとして書いたものではなく、原稿やメモの類です。一心不乱で書いたがゆえに、紙面の字は乱れないどころか乱れに乱れています。間違いの塗りつぶしや書き込み、行の乱れや字の大小不揃いなど混沌としたドキュメンタリーです。
 これらの名品は、言わば歴史的なBadカリグラフィーと解釈すると分かりやすいと思います。しかもここにこそ書の真の醍醐味があるわけです。
 今回の私たちのBadカリグラフィーは、その書本来のフィジカルなエネルギーを具現化、可視化させ、同時にそれは自身が内蔵するピュアな生理的エネルギーを噴出させる行為として挑戦した次第です。

 Niceな篆書コンテンポラリー作品は、「文字デザインと素材の融合」がテーマです。    
 篆書が生まれた時代は、紙がありませんでした。書の表現が紙筆墨だけに頼るのではなく、異素材を組み合わせ、素材を生かした文字デザインを現代アートとして復権させることは重要なアプローチだと考えます。書は本来、高度な究極の引き算ではありますが、その潔さに甘んじることなく、その前に足し算としてのアートと本格文字デザインを身につけることで説得力ある引き算表現が実を結ぶと考えています。
 アートやデザインは便利なキーワードでちまたに溢れていますが、そういう化粧の前に本格となるべく素顔のベースは書の古典にあります。古典をどれだけ深く掘り下げ、探求すれば結果は自ずと現代の表現として浮上します。徹底した古典研究なくして説得力を持つことはあり得ない、それが私たちの変わらざる書作のポリシーです。

 書の芸術性と文化を現代に再生復活させ、一般の方々の支持を得るためには、大胆にして果敢な冒険と実験を継続的な努力によって成さなければ書の明日はないでしょう。
 私たちはたった40名にも満たない有志者ですが、古典を追及し、意気に燃えた現代の書アートの先頭集団であることに誇りを持っております。次なる新しい展開は来年秋の京都特別展からスタートします。ぜひご期待ください。

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バッドカリグラフィーと篆書コンテンポラリー作品の二つの展示会場で、出品者による創作デモンストレーションと作品解説のガイドツアーが連日2回ずつ行われました。
 創作デモンストレーションは、篆書をテーマに古典スタンダードの字から、どのようにアレンジメントを加えてオリジナル作品にするかの手順を追って解説し、1時間にわたって実演しました。
 いずれも熱心な来場者の熱気が満ち、ガイドツアーも好評でどちらも解りやすい、バッドの意味がよくわかった、古典を根拠にしていて素晴らしい、と多くの生き生きとしたお声をいただきました。
 出品者のモチベーションも上がり、今後も書の面白さや素晴しさをわかりやすく皆様にお届けするべく努力したいと思います。
 次回は同じ銀座第7ビルギャラリーで12月10日(火)から「銀座CACAライフ展」を予定しており、新しい趣向で皆様のお越しをお待ち申し上げております。
ご来場の皆様、ありがとうございました。

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